「長男の嫁」は報われない?
茨木市の皆様、こんにちは。いばらき法律事務所の弁護士、横山耕平です。当事務所のホームページでは、皆様の法的な問題解決に役立つ情報を発信しています。
◆ ご家族の介護と民法改正
ご家族の介護は、心身ともに大きな負担を伴うものです。特に「長男の嫁」や、法定相続人ではない親族が、亡くなった方(被相続人)のために献身的に尽くしたにもかかわらず、その貢献が報われずに悲しい思いをされたケースは少なくありませんでした。
かつての民法では、被相続人への貢献(寄与分)は原則として法定相続人にしか認められず、このような状況は「不公平」との声が上がっていました。
しかし、この問題に対応するため、令和元年(2019年)7月1日に民法が改正され、「特別寄与料」制度が新設されました。この制度は、相続人ではない親族が、被相続人に対し無償で療養看護等の労務を提供し、その結果、財産の維持または増加に特別な寄与をした場合に、貢献に応じた金銭を相続人に請求できるものです。
◆ 特別寄与料を請求できる親族の範囲
特別寄与料を請求できる親族の範囲は広く、被相続人から見て6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族が含まれます。これにより、長男の嫁はもちろん、孫や甥姪なども対象となり得ます。ただし、無償であり、親族として通常期待される以上の特別な貢献であることが要件です。
◆ 特別寄与料を請求する際に注意すべきこと
この制度を活用する上で、特に注意すべき点をいくつかご紹介します。
- 厳格な請求期限: 家庭裁判所に特別寄与料の請求を行う場合、相続の開始および相続人を知った日から6カ月以内、または相続開始の時から1年以内という短い期限が定められています。期限を過ぎると請求が困難になるため、早めの対応が肝心です。
- 詳細な証拠の確保: 貢献の事実や程度を客観的に示すため、介護日誌、医療費領収書、病院付き添い記録、買い物記録など、具体的な証拠を保管しておくことが非常に重要です。
- 相続税の課税対象: 受け取った特別寄与料は、遺贈とみなされ相続税が課税されます。さらに、被相続人の一親等血族・配偶者以外は相続税が2割加算されるため、税務上の影響も考慮が必要です。
茨木市の皆様、相続問題はデリケートで複雑です。いばらき法律事務所は、地域の皆様が安心してご相談いただけるよう、きめ細やかな対応を心がけております。弁護士として、皆様の疑問や不安に寄り添い、法的な観点から最適な解決策を見つけるお手伝いをいたします。
特別寄与料に関するご相談はもちろん、相続に関するあらゆるお悩みがありましたら、どうぞお気軽に当事務所までお問い合わせください。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。