学校でのいじめ問題:新年度の今、知っておきたい法的解決の道筋
皆様、こんにちは。「いばらき法律事務所」弁護士の横山耕平です。
このブログでは、皆様が日常生活で直面しうる様々な法的な問題について、専門家としての知見を分かりやすくお伝えし、「安心のための成分表示」となるような情報を提供してまいります。今回は、新年度から数ヶ月が経ち、夏休みも始まり、新しい環境での疲れやストレスから、学校生活での悩みや問題が表面化しやすいこの時期に、特に多くのご家庭が関心を寄せている「学校でのいじめ問題」について、法的な側面からお話ししたいと思います。
◆いじめとは何か(法的側面から)
学校でのいじめは、お子様の健やかな成長を妨げ、ご家族にとっても大きな心労となる深刻な問題です。しかし、「たかが子ども同士のケンカ」と見過ごされがちですが、いじめは法律上、「不法行為」に該当する可能性があり、その多くは暴行、恐喝、名誉毀損、器物損壊といった「犯罪行為」に該当する可能性さえあります。例えば、殴る蹴るなどの暴力行為は暴行罪や傷害罪に、金品を要求する行為は恐喝罪に、悪口や誹謗中傷は名誉毀損罪や侮辱罪に問われることがあります。また、無視や仲間外れといった心理的な攻撃も、被害を受けた児童生徒が心身の苦痛を感じていればいじめに含まれます。
◆誰が責任を負うのか
いじめが発生した場合、その責任は、いじめの行為を行った加害者本人、そしてその親御さんに問われるのが原則です。特に、加害者であるお子様に十分な責任能力がないと判断される場合(おおむね10歳~12歳未満が目安とされます)、親御さんが監督義務者として損害賠償責任を負うことがあります。
さらに、学校や教師も責任を問われる可能性があります。学校には、児童生徒が心身ともに安全に過ごせるよう配慮する「安全配慮義務」が法律で定められており、教師がいじめに加担したり、いじめを知りながら適切な対応を怠ったりした場合には、学校の設置者(公立学校であれば国や地方自治体、私立学校であれば学校法人)が損害賠償責任を負うことがあります。
◆どんな請求ができるのか
いじめの被害に遭った場合、お子様が受けた精神的苦痛に対する慰謝料、怪我や精神不調の治療費、そしていじめが原因で転校を余儀なくされた場合の転校費用などを請求できる可能性があります。特に「いじめによって長期の欠席や転校を余儀なくされた場合」は、いじめ防止対策推進法で定義される「いじめ重大事態」として、学校側が速やかに調査を行い、再発防止策を講じる義務があります。
◆弁護士に相談を
もし、お子様がいじめに遭っているかもしれないと感じたら、決して一人で抱え込まず、できる限り早く弁護士にご相談ください。いじめに関する損害賠償請求権には時効があるため、早期の対応が解決への鍵となります。
いじめ問題を法的に解決するために最も重要なのは、「客観的な証拠」です。 具体的には、以下のようなものが有力な証拠となり得ます。
- いじめ現場を撮影した写真・動画、録音データ
- SNSでの誹謗中傷のスクリーンショット
- 医師の診断書(怪我や精神的な不調がある場合)
- 被害者本人の日記、友人など第三者の証言
弁護士にご相談いただくことで、ご家族が直接加害者や学校と交渉する精神的な負担を軽減し、法的な専門知識に基づいて適切な解決を目指すことができます。また、学校側が調査や対応に消極的であっても、弁護士が代理人となることで、学校が適切に対応する可能性が高まります。
お子様が心身ともに健康で、安心して学校生活を送れるよう、茨木市にある、いばらき法律事務所の弁護士が「よき相談相手」として、皆様のお話をお伺いし、それぞれの状況に応じた最適な解決方法を共に考えさせていただきます。
何かご不明な点やご心配なことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
今後とも「いばらき法律事務所」をどうぞよろしくお願い申し上げます。
弁護士 横山耕平