不動産オーナー様の絶えないお悩み
皆様、こんにちは。「いばらき法律事務所」弁護士の横山耕平です。
皆様のお困りごとを「安心のための成分表示」として分かりやすくお伝えできるよう、いばらき法律事務所のホームページで発信しております。当事務所が茨木市のどこにあるのか、弁護士はどんな人なのか――。ご相談に来られる皆様が抱くであろう、そうした疑問や「安心して相談できるか」というお気持ちに応えるべく、解決事例や専門的なお話を、分かりやすく掲載してまいります。
さて、新年度から数ヶ月が経ち、新しい環境での暮らしにも慣れてきた頃、不動産オーナー様にとっては、賃貸物件の収益性や入居者との関係について改めて見つめ直す良い機会かもしれません。今回は、この時期にご相談いただくことも多い「不動産の貸主(オーナー様)が借主(入居者様)に請求できること」、特に家賃滞納や賃料増額請求について、法的なアドバイスをお届けしたいと思います。
◆不動産オーナー様が直面するお悩みと法的な解決策
賃貸物件の経営は、安定した収益を得られる一方で、入居者様との間で様々なトラブルが発生することもあります。特に、家賃の滞納や、長期間据え置かれた賃料の見直しは、オーナー様にとって大きな課題となりがちです。
1. 家賃滞納が発生した場合の対応
家賃滞納は、オーナー様の収益に直接影響するため、早期の対応が非常に重要です。決して「少しくらいなら」と放置せず、迅速に行動を起こしましょう。
- 早期の督促(督促状の送付):滞納が始まったら、まずは電話や書面(督促状)で早めに連絡を取り、支払いを促すことが肝心です。督促状には、請求額、支払期限、振込先、そして期限までに支払いがなければ法的措置を検討する旨を明確に記載しましょう。連帯保証人がいる場合は、連帯保証人にも早期に連絡を入れることで、滞納額が膨らむ前に対処を促すことができます。
- 内容証明郵便の送付:通常の督促で改善が見られない場合、内容証明郵便の送付を検討します。これは、いつ、誰が、どのような内容の文書を送ったかを郵便局が公的に証明してくれるもので、後の訴訟になった際の有力な証拠となります。
- 「信頼関係の破壊」と賃貸借契約の解除:家賃滞納が続くと、貸主と借主間の「信頼関係が破壊された」と見なされ、賃貸借契約の解除が可能になります。一般的には、家賃滞納が3ヶ月以上続いた場合が目安とされています。
- 法的措置(裁判・強制退去):内容証明郵便を送っても状況が改善しない場合は、裁判による解決が必要です。法的な手続きには「支払督促」「少額訴訟」「通常訴訟」などがありますが、入居者様の退去を求める場合は「通常訴訟」を選択することが一般的です。裁判で勝訴しても支払いがされない場合は、入居者様や連帯保証人の不動産、給与、預金などを差し押さえることも可能です。
- 回収費用と時効:強制退去にかかる費用は原則として借主の負担となりますが、現実には回収が難しいケースが多いです。家賃請求権には5年の時効があるため、早めの対応が何よりも重要です。
2. 賃料増額請求について
長期間賃料を据え置いている場合や、物件を取り巻く経済状況が大きく変化した場合、賃料の増額を検討することもあるでしょう。
- 法的根拠と増額が認められる事情:借地借家法第32条に基づき、土地や建物にかかる税金や経費の増加、経済事情の変動、近隣の類似物件の賃料との比較により、現在の賃料が不相当となった場合に増額請求が認められます。
- 手続きの流れ:まず、貸主から借主に対し賃料増額の意思表示を行います。この意思表示も、後日の証拠となるよう内容証明郵便で行うことが推奨されます。当事者間で合意に至らない場合、いきなり訴訟を提起することは原則としてできず、まずは調停を申し立てる必要があります(調停前置主義)。調停でも解決しない場合に、訴訟へと移行します。
- 供託された場合の注意点:賃料増額請求に対して借主が増額を拒否し、自らが「相当と認める額」の賃料を法務局に供託するケースがあります。この場合、オーナー様が供託金を受け取る際は、「増額した賃料の一部として受け取る」旨の留保を明確に付けて受領することが非常に重要です。この留保を怠ると、借主が主張する金額を賃料として認めたとみなされ、トラブルが長期化する恐れがあります。
◆解決へのヒントと弁護士に相談するメリット
不動産に関する問題は、法律や専門知識が複雑に絡み合い、オーナー様お一人で対応するには大きな精神的・時間的負担を伴います。特に、感情的な対立が生じやすい家賃滞納や賃料増額の交渉では、冷静かつ専門的な視点での対応が不可欠です。
弁護士にご依頼いただくことで、以下のようなメリットが期待できます。
- 専門知識に基づく適切なアドバイスと手続きの代行:複雑な法律関係を正確に把握し、最適な解決策をご提案します。内容証明郵便の作成・送付から、調停、訴訟、強制執行に至るまで、煩雑な手続きを代行いたします。
- 精神的負担の軽減:入居者様との直接交渉や法的な手続きのストレスから解放され、オーナー様は本業や日常生活に集中できます。
- 早期解決と損失の拡大防止:経験豊富な弁護士が介入することで、問題の早期解決を図り、さらなる家賃損失や法的手続きにかかる費用・時間の拡大を防ぎます。
- 「合意解除」など円満な解決の模索:裁判や強制執行といった最終手段を避けるため、可能な限り借主様との「合意解除」など、双方にとって納得のいく解決を目指します。
もし、賃貸物件の家賃滞納や賃料の見直し、その他不動産に関するお困りごとがございましたら、決して一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。茨木市にある、いばらき法律事務所の弁護士が、皆様の「安心のための成分表示」となり、最適な解決の道筋を共に考えさせていただきます。
今後とも「いばらき法律事務所」をどうぞよろしくお願い申し上げます。
弁護士 横山耕平