18歳・19歳は実名報道されることも?少年事件と「特定少年」―保護者の方に知っておいてほしい大切なお話
茨木市で弁護士をしております、いばらき法律事務所の横山耕平です。
当ホームページでは、私たちがどのような考えで事件に向き合っているかを「成分表示」としてお伝えし、皆さまに安心してご相談いただけるよう努めています。
今回は、18歳・19歳のお子様をお持ちの保護者の方に、ぜひ知っておいていただきたい少年事件の基本的なポイントについてお話しします。
新生活の始まりは、心と環境が大きく揺れやすい時期です
進学や就職、引っ越しなど、新しい生活が始まる時期は、お子様にとって期待と同時に、大きな緊張やストレスがかかります。
新しい人間関係の中で無理をしてしまったり、解放感から判断を誤ってしまったりすることも、決して珍しくありません。
「うちの子に限ってそんなことはない」
多くの保護者の方が、そう思われます。
しかし、少年事件は特別な家庭だけに起こるものではなく、どのご家庭にも起こり得る問題です。
万が一、警察から連絡があったときや、学校でトラブルが起きたときに、慌てず、お子様の将来を守るために知っておいていただきたいことがあります。
18歳・19歳は「特定少年」と呼ばれます
令和4年(2022年)4月1日の少年法改正により、18歳・19歳の少年は「特定少年」と位置づけられました。
成人年齢が18歳に引き下げられたことに伴う制度変更です。
少年法は引き続き適用されますが、これまでよりも「大人に近い責任」を求められる場面が増えているのが実情です。
保護者の方に、特に知っておいていただきたい点は次の2つです。
① 実名報道される可能性があること
これまで少年事件では、立ち直りを守るため、実名や顔写真が報道されることは原則としてありませんでした。
しかし、「特定少年」が検察官に起訴された場合(正式な裁判になった場合)、実名や顔写真が報道される可能性があります(※1)。
一度インターネット上に名前が出てしまうと、就職や進学、結婚など、将来に長く影響してしまうこともあります。
② 大人と同じ刑事裁判になる可能性が広がっています
「逆送」とは、家庭裁判所から検察官に送られ、大人と同じ刑事裁判を受ける手続きのことです。
以前は、殺人などごく重大な事件に限られていましたが、現在は、特定少年について対象となる事件の範囲が広がっています(※2)。
これは、単に厳しく罰するためではなく、その後の立ち直りをどのように支えていくかが、より強く問われる制度でもあります。
弁護士(付添人)が大切にしている「環境調整」
では、万が一お子様が事件を起こしてしまった場合、弁護士はどのような役割を果たすのでしょうか。
少年事件において、弁護士は「付添人(つきそいにん)」と呼ばれます。
付添人の役割は、単に処分を軽くすることではありません。
お子様が同じ過ちを繰り返さないための「環境調整」を行うことが、最も重要な役割です。
- 少年との対話
面会を通じて孤独感を和らげ、なぜ事件に至ったのかを一緒に整理します。 - 学校・職場への働きかけ
退学や解雇とならないよう、状況に応じて調整し、復帰後の受け入れ環境を整えます。 - 家族関係のサポート
親子関係がこじれてしまっている場合でも、第三者である弁護士が間に入ることで、落ち着いて話し合える環境をつくります。
特に「特定少年」の場合、家庭裁判所において保護処分(少年院送致や保護観察など)が適切であることを丁寧に伝えることが重要になります。
そのためには、弁護士の早期関与と、ご家族の協力体制が欠かせません。
お子様の未来を守るために
少年事件の手続きは、想像以上に早いスピードで進みます。
迷っているうちに、選択肢が限られてしまうことも少なくありません。
「警察に呼ばれた」
「子どもと連絡が取れない」
そんなときは、一人で抱え込まず、早めに専門家へご相談ください。
付添人が早期に関与するかどうかで、その後の処分や人生が大きく変わることもあります。
お子様の更生と未来を守るため、私たちも全力でサポートいたします。
※割り注
※1 実名報道の解禁(少年法第68条の規定の特例) 18歳・19歳の「特定少年」であっても、捜査段階や家庭裁判所の審判段階では実名報道は禁止されています。しかし、家庭裁判所から検察官送致(逆送)され、検察官によって起訴(略式起訴を除く)された段階で、実名や容貌を推知できるような報道が可能となります。
※2 原則逆送対象事件の拡大(少年法第62条第2項) 16歳以上の少年が故意に被害者を死亡させた事件に加え、特定少年(18歳・19歳)については、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」を犯した場合も、原則として検察官送致(逆送)の対象となります。これには、現住建造物放火、不同意性交等、強盗、組織的詐欺などが含まれます。
※3 付添人の活動と環境調整 付添人は、少年法第10条に基づき選任されます。付添人は、少年鑑別所での面会等を通じて少年の内省を促すだけでなく、保護者と協力して監督体制を整えたり、学校や職場と交渉して少年が社会復帰できる場所(居場所)を確保する「環境調整」を行います。この活動結果は、家庭裁判所が処分を決定する際、少年の「要保護性(再犯の可能性)」を判断する上で極めて重要な要素となります。