「面会交流」トラブル、どう乗り越える?子どもと会いたい親御さんが気を付けるべきこと
茨木市にある「いばらき法律事務所」弁護士の横山耕平です。
当事務所のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。 このサイトは、ご相談者様にとっての「成分表示」でありたいという想いで運営しております。
食品を買うとき、裏面の成分表示を見て安心するように、弁護士への相談も「どんな人が」「どんな想いで」対応するのかを知っていただくことが、安心の第一歩だと考えています。今回は、一年を通して増えているご相談、「子どもとの面会交流」について、法的な視点と解決のヒントをお話しします。
「子どもが中学生になり、部活で忙しくなって面会に行きたがらない」
「相手が遠方に引っ越すことになり、これまでの頻度で会えなくなる」
こういった変化に対し、どのように対応すればよいのでしょうか。
面会交流は「誰のため」のもの?
まず大原則として、面会交流は「親の権利」である以上に、「子どもの権利」であるという点をご理解ください。法律上も、面会交流は親の権利という側面だけでなく、『子の利益(子どもの幸せ)』を最優先に考えるべきものと位置づけられています。離れて暮らす親と定期的に会い、愛情を確認することは、子どもの健全な成長や人格形成において非常に重要であり、これを「子どもの福祉」といいます。
したがって、親同士の感情(相手に会いたくない、許せないなど)だけで、一方的に面会を拒否することは原則として認められません(※1)。もし正当な理由なく拒否を続けると(※2)、損害賠償請求や、(日時や場所が具体的に特定されているなど、一定の条件を満たす場合には)間接強制(ペナルティ金の支払い)が認められる可能性といった法的リスクを負うことにもなりかねません(※3)。
ライフスタイルの変化には「柔軟性」を
しかし、子どもが成長すれば生活リズムは変わります。 特に思春期(中高生)に入ると、部活動や友人関係が生活の中心となり、親との時間を後回しにしたくなるのは成長の証でもあります。
ここで「取り決め通りに会わせろ」と親の都合を押し付けることは、かえって子どもを追い詰め、面会自体への拒否感を生んでしまう可能性があります。 重要なのは「子どもの最善の利益(子の利益)」を優先し、柔軟に方法を変えることです。
【解決のヒント:代替案の提案】
もし、物理的に会う時間が取れない場合は、以下のような代替案を検討してみてください。
- 頻度や時間の変更: 「月1回・1日」が難しいなら、「2ヶ月に1回」にする、あるいは「部活終わりの夕食だけ」にするなど、負担の少ない形に変える。
- オンラインの活用: LINEのビデオ通話やメールなど、ICT(情報通信技術)を活用した「オンライン面会」などの間接的な交流を取り入れる。遠方への転居や多忙な時期には特に有効です。
- 夏休み等の活用: 普段会えない分、長期休暇に少し長めの時間を確保する。
話し合いが難しいときは
「相手と直接話すと喧嘩になってしまう」「条件変更に応じてくれない」という場合は、家庭裁判所の調停手続を利用して、第三者(調停委員)を介して調整を行うことが有効です。また、当事者間での受け渡しが困難な場合は、民間の「面会交流支援団体」を利用する方法もあります。
例えば、次のようなケースがあります。
離婚後、面会交流自体には双方とも賛成していたものの、受け渡しの条件が整わず、面会が止まっていたご家庭がありました。
このケースでは、
・父母が直接顔を合わせない
・子どもの受け渡しを第三者
という形で、面会交流支援団体を利用することにしました。
その結果、
・親同士の感情的な衝突がなくなり
・子どもも安心して面会に臨めるようになり
・徐々に定期的な面会交流が再開
するに至りました。
当初は「他人に任せるのは不安だ」と感じていた親御さんも、子どもにとっては、その方が落ち着いて会えると分かった」と話されています。
弁護士は、法律論だけでなく、「お子様の気持ち」と「親御さんの安心」のバランスを考えた解決策をご提案します。 食品の成分表示を見るように、まずは弁護士の考え方や解決事例を聞いていただき、「安心して話せそうだな」と感じていただけましたら、弁護士にお気軽にご相談ください(※4)。
【※ 詳しい法的解説】
※1 面会交流と「子の利益」(民法766条)
民法766条では、離婚後の子の監護について協議する際、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と定めています。面会交流は、親のためにあるのではなく、子どもの精神的な安定や成長のために行われるものです。したがって、裁判所も「子どもの福祉にかなうかどうか」を最大の判断基準とします。
※2 面会交流を拒否できる「正当な理由」
原則として拒否はできませんが、以下のような「子どもの福祉を害する事情」がある場合は、制限や停止が認められることがあります。
- 子どもへの虐待や、連れ去りの危険性が高い場合。
- 非監護親が子どもに悪影響を与える(同居親の悪口を吹き込むなど)場合。
- 子ども自身がもっともな理由で強く拒絶している場合(ただし、同居親の影響による拒否でないかも含め、年齢や真意を慎重に判断します)
※3 取り決めを守らない場合のリスク
調停や審判で決まった面会交流を行わない場合、裁判所から「履行勧告」がなされたりすることがあります。また、不当な拒否は不法行為として慰謝料請求の対象になることもありえます。
※4 その他 共同親権の議論について
近年、離婚後の共同親権導入に向けた法改正の動きがあります(令和6年5月成立・公布 公布から2年内に施行)。改正法では、 「父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとともに、その子の年齢及び発達の程度に配慮してその子を養育しなければならず、かつ、その子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない。」(改正法817条の12第1項)とされました。ここには金銭的なサポート(養育費)だけでなく、適切な関わり(面会交流)を通じて子の成長を支えるという趣旨も含まれています。面会交流はまさにその一環として、今後さらに重要視されることになります。これにより、離婚後も父母双方が子育てに関わる重要性が増していますが、DV(ドメスティック・バイオレンス)があるケースなどでは慎重な対応が求められます。法制度は変化していますが、「子どもの利益が最優先」という根本は変わりません。